こんにちは。
静岡市清水区にあります
介護付き有料老人ホーム 庵原屋 日和館です。
紫陽花がとても華麗に咲く季節になりましたね。
今日のブログは、自立支援についてです。
皆様、年を重ねて、今は一人で生活出来ますが、
日常生活が一人では出来なくなったりした時に困らない為に、日和館に来られた方もいらっしゃいます。
昨日まで出来たことも、今日出来なくなることもあるのが高齢者です。
裁縫や料理は、体が覚えているとはいいますが、
何かを忘れたり、人の手を借りないとならない時も出てきます。
この事は、決して恥ずかしいことではありません。
皆、歳をとれば、通る道なのですから、そんな心配もいりません。
出来なくなることもありますが、出来ることもまだまだたくさんあります。
介護者が全て手を出してしまうのは、
その人が持っている能力を奪うことになります。
介護保険における自立とは、
要介護者ができる限り自分の能力を活かして在宅生活を続けていくことであり、
自立支援とはその生活を要介護者が行うことができるように支援すること
を意味します。
日和館でも、自分で出来ることは行う方が多いです。
先日、I様がボタンが5つも緩くなったり、取れているところがあると困っていました。
お話をしていく中で、ボタンが無くなってしまったし
裁縫箱も持っていないということで、何も出来ないというのです。
また、目も少し悪くなってきたし、針仕事も随分やっていないと。。
なので、
ボタン付けを頼まれるかな?と思っていましたが、
『針と糸とボタンをお渡ししたら自分で出来ますか?』と伺ってみました。
決して意地悪ではなく、
一つ一つボタンの位置やボタンホールの位置を、丁寧に確認していたからです。
すると、『もちろん自分でやりますよ。』という返答が返ってきました。
なので、裁縫箱とボタンをお持ちし、お願いすることにしました。
糸通しは出来ないとのことで、お手伝いをさせていただきました。
I様は、それから黙々と一つづつボタンを付けていきました。
ゆっくり丁寧に。。。
1つ縫い終わる頃に、『昔なら、あっと言う間にできたのに、目も悪くなかったし、
こんなに手が動きにくい。出来ると思っていたことが出来ない。』と仰りました。
それでも、自分のボタンを1つ付けました。
残り4つをやろうと頑張っていました。
しかし、
『あー思うように手が動かない。焦点がぼやける。』と、ぼそっと言う声が聞こえました。
少し見守っていましたが、大きなため息をつき、
動きは止まってしまいました。
すると、
『申し訳ないけど、手伝って欲しい。』とI様。
I様の性格から、何がなんでも時間かけてやるものだと思っていたので、少し驚きました。
『ここまで丁寧にボタン付けできたので、さすがですよ。代わりにやらせてもらいますね。』と伝えると、
I様の固かった表情が緩み、
『申し訳ない。助かります。
自分でできると思ったけど、歳をとったね。
困ったら、こうやって手伝ってくれるのは、助かります。一人暮らしだったら、こうやって手伝ってもらえなかったから、ここに来て本当に良かったよ。』と仰っていました。
自分で出来る能力があるのなら、時間がかかっても見守るべきです。
でも、出来ないことも認め、人に頼ることが悪いことではないことも知ってほしいと思います。
自立支援は、本当に日々を知らないと、出来る能力まで潰してしまいます。
良かれと思う介助が、出来なくしてしまうこともあります。
なので、私たちは、ご入居者様の生活をよく観察し、またご入居前の生活を振り返って、得意なことや苦手なことを理解し、またご入居様の性格を理解した上で、出来ないことを介助していく必要があります。
自信喪失にならないような声かけも大切です。
できる能力もあることをこれからの支援の中で増やして行けたらいいなぁと思っています。
ボタン付けが苦手な私は、残りをやって、出来上がった服を持っていくと
『いゃ〜もうやってくれたの。助かりました。ありがとさん!』と
I様が嬉しそうな表情し、私の手を撫でてくれました。
I様の撫でてくれた手は、仕事をしてきたしわくちゃな優しい手でした。